ライバーの インボイス 登録は 必要? 免税事業者の 判断・ 手順・ 2割 特例を解説
この記事でわかること
インボイス 制度の うち、 ライバーに 関係する部分 登録は 義務ではなく、 免税事業者の ままでも よいこと 登録すると 消費税の 申告が 必要に なる こと、 2割 特例・ 3割 特例の 考え方 登録の 手順と、 請求書に 書くこと 登録で 氏名が 公表される ことと、 身バレが 心配な ときの 考え方
「ライバーの収入があるけれど、インボイスの登録はしたほうがいいのか」「登録しないと、報酬を受け取れなくなるのか」と、迷っている方は多いと思います。
インボイス制度は2023年10月に始まりました。
ただ、登録するかどうかは自分で決められるもので、ライバー全員に必要な手続きではありません。
この記事では、ライバーがインボイスで押さえておきたい点を整理します。
制度の中身、登録の判断のしかた、登録した場合の消費税の扱い、手続きと請求書の書き方、登録によって氏名が公表されることの順に説明します。
税金のくわしい判断は、個々の状況で変わるため、最後は税務署や税理士への確認が前提です。
インボイス制度とは何か:ライバーに関係するところだけ

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」です(国税庁No.6498)。
2023年10月1日(令和5年10月1日)から始まっています。
商品やサービスを買った側が消費税の計算をするときに、「適格請求書(インボイス)」などの保存を求める制度です。
適格請求書とは、売った側が買った側に、正確な税率や消費税額を伝えるための書類のことです。
請求書や納品書など、一定の事項が書かれたものをいいます。
適格請求書は、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」でなければ交付できません。
つまり、インボイスを出せるのは、登録を済ませた人だけです。
登録していない人が出す請求書は、適格請求書にはなりません。
ただし、登録しないこと自体に罰則はありません。
| 立場 | 内容 |
|---|---|
| 売る側(ライバーが請求書を出す側) | 適格請求書は、登録を受けた適格請求書発行事業者だけが交付できる。 登録を受けると、取引の相手方(課税事業者に限る)から求められたときに、適格請求書を交付する義務と、写しを保存する義務が生じる |
| 買う側(報酬を払う側) | 消費税の計算で仕入れ分の税額を引く(仕入税額控除)には、帳簿と、適格請求書などの請求書等の保存が要件になる |
| 登録していない人から買うとき | 買う側は、その分の消費税を引けなくなる。 ただし、一定の割合を引ける経過措置が、2031年9月30日(令和13年9月30日)までの期間に設けられている |
この経過措置の割合は、「80パーセント、7・5・3割」と段階的に下がります。
期間ごとの割合や、金額が大きい場合の制限は、国税庁のQ&A(問113)で確かめられるので、実際に取引先と話すときは、そちらを見てください。
ライバーに関係するのは、どんな場面か
インボイス制度は事業者全般の制度で、ライバー向けの決まりがあるわけではありません。
そこで、売る側になる場面を整理します。
- 企業からPRや出演を頼まれて、請求書を出す場面。
- 事務所に所属していて、事務所から報酬が支払われる契約の場面。
- イベント出演や、グッズの販売など、相手が事業者の取引の場面。
相手が会社などの課税事業者であれば、「登録番号を教えてください」と言われることがあります。
相手が個人のファンで、ギフトを送るだけの場合は、請求書を出す場面そのものがありません。
ライバーは登録しなければならないのか:免税事業者という考え方

結論から言うと、登録は義務ではありません。
適格請求書発行事業者になるには、税務署長に登録申請書を出して登録を受ける必要があります(No.6498)。
自分から申請しなければ、登録されることはありません。
消費税には、もともと「免税事業者」という考え方があります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は、原則として消費税の納税義務が免除されます(No.6501)。
基準期間とは、個人事業者の場合は「その年の前々年」です。
| 確かめること | 内容(No.6501) |
|---|---|
| 基準期間 | 個人事業者は、その年の前々年。 たとえば2026年の分なら、2024年の1年間 |
| 免税になる目安 | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務が免除される |
| 免税にならない例 | 適格請求書発行事業者の登録を受けている場合。 前年1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合。 課税事業者選択届出書を出している場合 |
表のとおり、前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても、インボイスの登録を受けると、免税事業者ではなくなります。
ここが、登録を考えるときのいちばん大きな分かれ目です。
登録しなくても、請求書を出すことはできます登録していない人が出す請求書は、適格請求書として扱われないだけです。
その分、買う側が消費税を引けなくなる影響が出る可能性があるので、取引先から相談されることがあります。
TikTokの報酬は、消費税の対象なのか
ここは、はっきりしていません。
TikTokの従業員や請負業者ではない場合、TikTokから受け取る支払いにかかる税金を、該当する税当局に報告して支払う責任は本人にあります。
そのうえで、所得税、GST、VAT、消費税、売上税の要件を自分で調べて、申告と納付の義務があるかを判断する必要があります(TikTokヘルプ)。
TikTokの報酬ポリシーでは、「すべての報酬は(該当する場合)税込みで提供されます」とされています。
一方で、ライバーにインボイスの発行や、登録番号の提出を求める定めは、報酬ポリシーにはありません。
TikTokのような海外の事業者から受け取る報酬が、消費税でいう「国内において行った課税資産の譲渡等」にあたるかどうかは、個別の判断が必要です。
ご自身の場合は、税務署か税理士に確認してください。
登録するかどうかを決める:判断の材料

登録するかどうかは、売上の大きさだけで決まる話ではありません。
登録を受けるかの判断に迷う人向けに、国税庁が、事前準備の基本項目チェックシートや、免税事業者向けのリーフレットを案内しています。
ここでは、ライバーが考えるときの材料を、表にしました。
| 登録する場合 | 登録しない場合(免税事業者のまま) |
|---|---|
| 相手が事業者の取引で、「登録番号を書いた請求書がほしい」と言われても対応できる。 | 相手が事業者の取引で、登録番号を求められても出せない。 取引先によっては、条件の相談になることがある。 |
| 前々年の売上が1,000万円以下でも、消費税の申告が必要になる(No.6501)。 | 前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務は免除される。 |
| 登録番号や氏名が、国税庁の公表サイトで公表される。 | 公表されることはない。 |
| 請求書を出すたびに、記載事項(登録番号など)を確認する手間が増える。 | これまでどおり、必要な事項を書いた請求書を出せばよい。 |
判断で役に立つのは、次の3つの問いです。
- 報酬の支払い元は、ほとんどがTikTokだけか。
企業や事務所から報酬をもらう予定があるか。 - その相手は、会社などの課税事業者か。
登録番号を求められたことが、実際にあるか。 - 登録して消費税を納めても、手元に残る金額で続けられるか。
報酬の支払い元がTikTokだけで、個人のファンからのギフトが中心なら、いま急いで登録を決める理由は、とくにありません。
企業案件が増えそうなときは、登録の相談を税理士にしてから動くと、後戻りが少なくなります。
取引先に言われたからといって、その場で決めなくて大丈夫です登録は、自分の消費税の納付に直接関わる手続きです。
「登録しないと契約できません」と言われても、まず税務署か税理士に確認してから返事をする時間を持ってください。
免税事業者をはじめとした事業者の取引環境の整備については、公正取引委員会の対応が、国税庁の「インボイス制度について」のページにまとめられています。
取引先から登録を求められたとき:話し方のポイント
企業との取引で、「登録番号がないと困る」と言われることがあります。
その場で返事をせず、次の順で整理すると、落ち着いて話せます。
- 何が困るのかを聞く(買う側が、消費税の仕入れ分を引けなくなることが理由か)
- 登録がない場合でも、一定の割合を引ける経過措置があることを、国税庁の案内で確かめる
- 条件を変える提案があるときは、口頭だけで済ませず、内容を書面やメッセージで残す
- 登録するかどうかは、自分の消費税の納付に関わるので、税務署か税理士に相談してから返事をする
登録すると何が変わるか:消費税の申告と、2割特例・3割特例

登録を受けた人は、課税事業者として消費税を申告して納めることになります。
インボイス発行事業者として登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要になります。
登録を受けた課税事業者は、基準期間の課税売上高にかかわらず、消費税の納税義務は免除されません(国税庁No.6498)。
この負担を軽くするために、小規模な事業者向けの特例が設けられています。
代表的なのは、次の2つです。
| 特例 | 内容(No.6498) |
|---|---|
| 2割特例 | 免税事業者が、インボイス制度をきっかけに登録を受けて課税事業者となった場合に、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間で、納付税額を売上税額の2割にできる |
| 3割特例(小規模個人事業者) | 免税事業者が、インボイス制度をきっかけに登録を受けて課税事業者となった場合に、令和9年(2027年)と令和10年(2028年)の課税期間で、納付税額を売上税額の3割にできる |
たとえば、税率10%の取引だけで、税抜の売上が500万円だったとします。
売上にかかる消費税額(売上税額)は50万円です。
2割特例なら納付税額は10万円、3割特例なら15万円という計算になります(制度の仕組みを示すための計算例で、実際の金額は個別の状況で変わります)。
2割特例は、いつまでの話なのか
2割特例の対象は「2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間」です。
個人事業者の課税期間は、通常は1月から12月です。
そのため、2026年分(2026年1月から12月)まで対象になります。
ご自身がどの課税期間にあたるかは、税務署で確かめてください。
2割特例の対象期間は終わりに近づいています。
2027年分以降は、3割特例があります。
対象になる条件の細かい点は、国税庁の特設ページで確かめてください。
制度は見直されることがあるため、決める直前にもう一度、国税庁の最新の案内を見てください。
確かめたい3点登録の日はいつにするか。
その年の課税期間が、特例の対象期間に入っているか。
納付するときの資金を、報酬の中から取っておけるか。
登録したあと、機材などを買うときの領収書
登録して課税事業者になると、配信用の機材などを買うときの領収書の扱いも気になります。
国税庁は、2割特例を使う場合、消費税の納付税額を計算するときに、受け取ったインボイスの入手や保存は必要ない、と案内しています。
ただし、所得税などの確定申告のためには、これまでどおり、領収書や請求書などの書類の保存が必要です。
| 場面 | 書類の扱い |
|---|---|
| 消費税の納付税額の計算(2割特例を使う場合) | 受け取ったインボイスの入手・保存は必要ない(国税庁) |
| 消費税の計算で、仕入れ分の税額を引く方法(原則)を使う場合 | 帳簿と、適格請求書などの請求書等の保存が要件になる |
| 所得税などの確定申告 | 領収書や請求書の保存が、これまでどおり必要 |
どの計算方法を選ぶかで、必要な書類が変わります。
登録する前に、税理士に確かめておくと安心です。
消費税は、いつ・どう納めるのか
登録により課税事業者となった場合の納付方法には、個人事業者向けの振替納税や、ダイレクト納付があります。
納付の時期や金額の計算は、課税期間と売上で変わります。
初めての年は、税理士に一度、見込みの金額を出してもらうと安心です。
登録の手順と、請求書に書くこと

登録すると決めたときの流れを整理します。
窓口に行かなくても、パソコンやスマートフォンのe-Tax(WEB版)で申請できます。
- 「適格請求書発行事業者の登録申請書」を用意する(e-Tax(WEB版)なら、質問に答えていく形で作れる)。
- e-Taxの手続きには、電子証明書(マイナンバーカードなど)と利用者識別番号の事前準備が必要。
- 登録申請書を税務署長に出す。
- 税務署の審査を経て登録されると、登録番号が通知される。
- 国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に、登録番号と氏名などが公表される。
登録番号は、法人番号がない個人の場合、「T」のあとに13桁の数字が続く形です(No.6498)。
免税事業者が、2023年10月1日から2029年9月30日(令和11年9月30日)までの日を含む課税期間に登録を受けた場合は、登録を受けた日から適格請求書発行事業者になれる経過措置もあります。
適格請求書に書くこと
取引の相手に渡す請求書や納品書には、次の事項を書きます(No.6625)。
| 書く事項 | ひとこと |
|---|---|
| 書類を作った人の氏名または名称と、登録番号 | 登録番号は「T」から始まる番号 |
| 取引年月日 | いつの取引か |
| 取引内容 | 何に対する報酬か |
| 税率ごとに合計した税込または税抜の対価の額と、適用税率 | 税率ごとに分けて書く |
| 税率ごとの消費税額等 | 消費税が何円か |
| 書類を受け取る事業者の氏名または名称 | 宛名 |
一定の期間の取引をまとめて書く方法も認められています。
保存期間は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です(6年目と7年目は、帳簿か請求書等のどちらか一方でよいとされています)。
請求書のひな型は、会計ソフトや税務署の資料にもあるので、自分で一から作る必要はありません。
源泉徴収がからむとき
源泉徴収が必要な報酬・料金等の代表的な範囲は、No.2792に示されていますが、「ライバー」という区分はありません。
ライバーの報酬が源泉徴収の対象になるかどうかは、契約内容によります。
ただし、請求書などで報酬の額と消費税等の額が明確に分かれていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよい、とされています(インボイス制度の開始後も変更なし)。
請求書を作るときは、報酬と消費税の金額を分けて書く習慣をつけておくと、あとで困りにくくなります。
登録で氏名が公表される:身バレが心配なとき

ライバーの方が、登録を考えるときに気になりやすいのが、「本名が出てしまわないか」という点です。
登録後は、登録番号や氏名または名称などが「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。
個人事業者が、屋号や事務所の所在地の公表を希望する場合は、別に「公表事項の公表(変更)申出書」を出す必要があります(No.6498)。
つまり、登録をすると、氏名と登録番号が、誰でも見られる形になる可能性があります。
配信名(ライバー名)と本名を結びつけられたくない方は、登録の前に、公表される内容を税務署で確かめてください。
どう公表されるかは、申請の形や個々の事情で変わりえます。
身バレにつながるかどうかは、登録前に確かめる配信名と本名を分けて活動している方は、登録を決める前に、公表される範囲を税務署に聞いてください。
身バレの全般的な考え方は、別の記事「TikTok LIVEの身バレ対策」で整理しています。
DUOの場合

お金の手続きで迷いやすいライバーの相談に、ライバー事務所DUOはTikTok LIVEの提携エージェンシーとして応えています。
報酬はTikTokが定めた額がTikTokからライバーに直接支払われ、DUOが差し引くことはありません。
DUO以外の企業案件などで請求書が必要になった場合に、登録するかどうかは、提携の税理士に相談できます。
登録料やレッスン料などの費用はなく、ノルマも違約金もありません。
契約書の内容は、面談で説明します。
応募は18歳以上で、LINEから受け付けています。
よくある質問
インボイスの登録をしないと、TikTokの報酬は受け取れなくなりますか?
TikTokの報酬の条件に、インボイスの登録番号は入っていません。
報酬ポリシーで支払いの条件とされているのは、18歳以上であること、本人確認などの情報の提供、本名で登録した支払い先などです。
仕組みは変わることがあるので、アプリの案内を確認してください。
年間の売上が1,000万円に届かなければ、消費税は関係ありませんか?
原則として、前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、納税義務は免除されます(No.6501)。
ただし、インボイスの登録を受けている場合などは例外です。
前年の1月から6月の課税売上高が1,000万円を超えた場合も、納税義務は免除されません。
領収書でも、適格請求書になりますか?
適格請求書は「請求書や納品書その他これらに類するもの」とされています(No.6498)。
必要な事項が書かれていれば、書類の名前は問われません。
領収書で足りるかどうかは、No.6625の記載事項をそろえているかで判断します。
会社員の副業でも、登録できますか?
登録は課税事業者が受けられるとされています。
副業の収入が、消費税で言う「事業者」の売上にあたるかどうかは、所得税の所得の区分とは別の判断が必要になることがあります。
ご自身の場合は、税務署か税理士に確認してください。
登録番号は、どこで確かめますか?
登録後に、税務署から登録番号が通知されます。
国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で、登録番号や氏名などの公表内容を確かめられます。
2割特例は、まだ使えますか?
2割特例は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間が対象です(国税庁No.6498)。
自分の課税期間が対象に入るかどうかは、税務署で確かめてください。
2027年と2028年の課税期間には、小規模個人事業者向けの3割特例があります。
ペンネームで登録できますか?
公表されるのは、氏名または名称です。
ペンネームで登録できるかは、税務署に確認してください。
屋号の公表を希望する場合の手続きは、No.6498の注に示されています。
相談できる窓口はありますか?
インボイス制度の一般的な質問は、消費税軽減税率・インボイスコールセンターで受け付けています(No.6498)。
個別の税務は、税務署や税理士に相談してください。
DUOでは、インボイスの登録を求められますか?
報酬はTikTokから直接支払われ、DUOが差し引くことはないので、DUOあてに請求書を出す手続きはありません。
インボイスの登録をするかどうかは、提携の税理士に相談できます。
契約の細かい内容は、面談で説明します。
まとめ
- インボイスの登録は義務ではありません。
登録しなくても、請求書を出すことはできますが、適格請求書にはなりません。 - 前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税は免税です。
ただし、登録を受けると免税事業者ではなくなります(No.6501、No.6498)。 - TikTokの報酬が消費税の課税対象になるかは、はっきりしません。
ご自身の場合は、税務署か税理士に確認してください。 - 2割特例は、2026年9月30日までの日の属する課税期間が対象です。
2027年と2028年の課税期間には、小規模個人事業者向けの3割特例があります。 - 登録すると、登録番号と氏名などが公表されます。
身バレが心配な方は、登録の前に公表内容を税務署で確認してください。
お金の手続きで迷ったときは、質問だけでもLINEで送れます。
DUOでは、提携の税理士に税金のことを相談できます。
